最新Mg機械加工技術の動向
2017年8月28日 11時57分

NHK サイエンスZERO「軽い!強い!燃えにくい!夢の新素材 新マグネシウム合金」

 本日は、「押さえておきたいマグネシウム加工技術の動向と、国内外の取り組み事例」のイントロとして、昨日(20170828)、NHKサイエンスZEROで放送されました熊本大学 河村能人先生による「軽い!強い!燃えにくい!夢の新素材 新マグネシウム合金」について、ご紹介させて戴きます。

熊本大学河村先生と茨城マグネシウム工業会とのご縁は、古く、深く、強いものがあります。
初代副会長の大任を受け、白石事務局長と熊本に赴き、熊大マグネシウム研究会設立総会に出席、同研究会の展示会に、茨城マグネシウム工業会として交流出展し、以後、相互に茨城と熊本において、交流出展を重ねて参りました。熊本県の産業振興ご担当の皆様との熱い交流会の夕べは、私の忘れ得ぬ想い出の一つになっています。

NEDOの事業として、日本マグネシウム協会様より、マグネシウム疲労強度試験用の試験片を一括製作させて戴くことになったことを河村先生にご報告申し上げたとき、快く、初期の熊本マグネシウムの試作品をご提供いただき、いち早く切削加工を行い、その金属加工特性を把握させて戴きました。茨城マグネシウム工業会主催の第1回世界マグネシウム展に参考出展させていただきましたことは、私の生涯の誇りです。

番組では、「日本から、夢の新素材・マグネシウム合金が誕生した。燃えやすく、強度が不足しているという課題を克服。燃えにくいだけではなく、ジュラルミンよりも軽くて強度が高いと、産業界から注目を集める。」として、熊本大学河村能人先生が紹介され、「専門外だった研究者」が、「材料の選定や製造方法など、全く新しい方法で、課題を乗り越えた」とし、新マグネシウム合金誕生の秘密が明かされています。今や、「航空・自動車・医療など、さまざまな産業で実用化研究が加速している」として、その可能性に迫る内容となっています。お見逃しの方は、是非、再放送をご覧ください。

この中で特に印象に残ったことは、「何故、熊大マグネシウムは高強度なのか」という点です。

実は、先にご紹介いたしました、初期の熊大マグネシウムの試作品をご提供戴きました折、河村先生ご自身から、「強度強化メカニズムついては、私もよく解っていない」と、伺っていたからです。
その秘密が、今回、新マグネシウムの製造過程における「キンク変形」により引き起こされている事実が明らかにされました。
(このキンク変形による長周期積層構造を持つマグネシウムの強度強化メカニズムについては、別途、ご報告して参ります。)

前回のご報告の中で、
2013年度から、10年にわたり研究開発がなされる国の革新的新構造材等技術開発プロジェクトをご紹介させて戴きました。
その基本計画の中で、
「革新的マグネシウム材の開発」 が必要とされ、しかも、「資源供給不安の少ない組成 (レアアースフリー)により実現する」ことが求められています。この点は、マグネシウムの地球規模のリサイクルを考えるとき、大切な視点であることは論を待ちません。

熊大マグネシウムには、難燃性能を上げるためにレアメタルの一つであるイットリウムが添加されており、今後、更なる進化が求められています。

本日は、ここまでと致します。

2017年8月11日 22時43分

マグネシウムの加工技術毎の最新動向、取り組み事例のご紹介

 本日より、マグネシウムの加工技術毎の最新動向、取り組み事例をご紹介させていただきます。

構成と致しまして、

●先ず、ものづくり総合産業としての自動車分野、特に「自動車構造材の軽量化と多様化」の視点で、全体を俯瞰し、
●次に、前回までの連載で提起させて戴きました「3つの分析の視点」から、押さえておきたい加工技術の動向と、国内外の取り組み事例をご紹介させて戴き、
●最後に、それを受ける形で、茨城マグネシウム工業会会員の加工技術戦略など、訪問・取材レポートを 順次、ご紹介していけたらと考えています。


自動車構造材の軽量化と多様化

マグネシウムの加工技術動向を効率よく全体俯瞰するためには、ものづくり総合産業としての自動車分野、特に「自動車構造材の軽量化と多様化」に着目してみていくことが有効です。
そこで、基本となる技術資料として、2014年公開の三井物産戦略研究所 マテリアル&ライフイノベーション室 大楠恵美氏著「戦略研レポート:自動車構造材の軽量化と多様化(以下、レポートと略します)」が、ポイントを的確に押さえ、結びに「軽量化がもたらすもの」と題し示唆に富む提言がなされています。非常によくまとまっていますので、是非、皆様にご紹介していきたいと思います。

レポートでは、
●先ず「はじめに」、「自動車軽量化への要請」と題して、世界が環境配慮型シナリオを選択し、環境負荷低減策が強く推進されされた場合には、自動車の電動化が急速に進む可能性があるとし、既に「環境性能向上の意識は製品化の形で表される段階に入っている」との現状認識を示されています。

その現状認識のもと、軽量化がもたらす効果について、「エンジ ン車や HEV では燃費削減において、 PHEV、EV、FCV では電池容量やモー タ容量の低減による車両コスト低減において、 特に大きな効果を示す」とし、

これからの自動車構造材のトレンドとして、「これまでの鉄鋼主体から、 アルミニ ウムやマグネシウム、複合材等の軽量化素材の比率を増加させ多様化 (マルチマテリアル化)に向かうとみられる。マッキンゼーでは、高張力鋼(以下、 ハイテン)を含む軽量化材の占める割合が今後 20 年間で 2 倍に増えると予測しており、 国際自動車工業連合会 (OICA : Organisation Internationale des Constructeurs d’Automobiles) は欧州車を例に取り、 アルミニウムや樹脂を多様するマルチマテリアル化を予測している 」ことを紹介しています。

但し、現状では「鉄鋼が圧倒的な主流で、 アルミニウムが拡大を狙い、 マグネシムと CFRP が実用化を目指して開発中、 という段階にある。 今後、各材料において高性能化やコスト低減 等の開発が進められるとともに、 これら材料の組み合わせによる最適化が図られることになる。」とし、

「異種材料を接合する技術の必要性は既にうたわれているが、 同じ素材で特性の異なるものを複層化することや、 異種材料を複合化 ・サンドイッチ化することにより、おのおのの長所を兼ね備えさせることも検討されている。 単一材料の進化だけでなく、 異種材併用を前提とした開発へと動き始めている。」とし、

自動車軽量化に向けて、これから注目すべき加工技術が紹介され、素材としての鉄鋼・アルミニウム合金・CFRP(炭素繊維強化プラスチック)と並んで、マグネシウムの現状と今後の展望について報告されています。

●マグネシウムの現状として、
「2005年時点での車 1 台当たりの使用量は、欧州で 6kg、 日本では 2kg と、 ごくわずかにとどまっている。 燃えやすい、耐食性が低い、加工性がアルミよりも劣る、高価である、 など、 モノづくり に不向きな点が多いことが普及の進まなかった理由である」とし、

各問題について対策研究の現状を概観し、概ね克服段階にあることが示され、大きな軽量効果が期待されるマグネシウムの需要予測について、「特に自動車での採用が期待されており(図表 11)、米国 USAMP (U.S. Automotive Materials Partnership) では 2005 年の 使用量 4.5kg が 2020 年には鉄鋼およびアルミを代替して 159kg に増加するとする 「Magnesium Vision 2020」 を発表している。 マッキンゼーによる 2030 年の自動車素材に占めるマグネシウムの割合予測は 5%だ。 また、航空機での採用も見込まれており、英 Magnesium Elektron のマ グネシウムが、 これまでのアルミに代わって椅子の構造部材に使われることが認められた。 これは不燃性マグネシウムではないが、 要求特性を満たす適用先を選ぶことで軽量化への寄与が可能であることを示している。 」としています。

更に、世界の開発動向については、「日本に比べ既に採用傾向にある欧米で研究開発プロジェクトが盛んで、 欧州のEUCAR、米国の USCAR、ドイツの SFB390などがあり、 また、 韓国が公的研究機関やPOSCOを中心にマグネシウム関連の開発に力を入れていることが特筆される。」とし、

「マグネシウムの採用拡大はまずはダイカスト材からとなるだろう。 しかし、 アルミ同様、その次に求められるのが板材であるのは明らかだ。そうしたなか、 住友電工がAZ91 の板材の量産化に世界で初めて成功した。 加工には 200℃以上の高温とする必要があるが、 鋳造がほとんどである現状から大きく一歩踏み出したといえるだろう。 ほかにも、 溶湯から薄板を直接作製するストリップキャスト法など、 圧延コストを下げる研究が行われており、 今後、板材の製造およびその成形加工がユーザーの要求に応えられるレベルとなることが期待される。」

「価格低減も達成すべき課題の一つであり、 板材でまずは 1kg 当たり 2,000 円以下、 さらには 1,000 円以下が目標価格となるもようである。」としています。

●最後に、「軽量化がもたらすもの」として、
2013年度から、10年にわたり研究開発がなされる国の「革新的新構造材等技術開発プロジェクト」が紹介され、

「素材メーカーを中心とする38の機関が参加し、 新構造材料技術研究組合を組成している 。 鋼 板、アルミニウム、マグネシウム、チタン、CFRP について、 高強度、 高延性、 不燃性、 耐食性、 耐衝撃性などを有する軽量化素材を開発、 またそれら軽量化素材を用いるための接合技術や接合部の性能評価技術の開発を行い、将来、輸送機器重量の半減を可能にすることを目指しており、 マルチマテリアル化が進む車両素材において 日本の技術の優位性を保つものとなることが期待される。 」としています。

本日は、ここまでと致します。


2017年8月02日 11時54分

今後成長が見込まれるマグネシウムの需要分野について

 本日は、前回の非鉄金属産業競争力維持のための3大方針を振り返りつつ、定量的なデータも確認し、今後成長が見込まれるマグネシウムの需要分野について考えてみましょう。

先ず、前回までの振り返りとして、非鉄金属産業競争力維持のための3大方針は以下の通りでした。
省エネの推進
「投資回収効果が明確に⾒込める省エネ事業から(非鉄金属の)導⼊が進められている⼀⽅、『オペレーション効率の改善』など効果が不明確な事業においては、投資が⾏われにくい現状があるので、製造プロセスにおけるエネルギー消費量・オペレーション効率の可視化によって、省エネポテンシャルを把握し、⼀層の⽣産効率化を実施する」

リサイクルの推進
「特にレアメタル資源に関して、経済性と両⽴したリサイクル技術の開発・社会全体でのリサイクルフローの確⽴を引き続き進める」とし、同時に「静脈産業へのIoTの活⽤によって、リサイクルの効率化、サプライチェーン内のニーズの探知、新サービスの創出を⽬的として推進していく」 

そのためには、
IoTの活用
IoTの活用により、「取得されたデータを計算科学手法」によって、「材料設計期間の劇的な短縮や、製造プロセスの革新的な改善が行われる可能性が存在する」と期待し、「こうした計算科学手法が有効に活用される製品分野の特定を行い、実導入に向けた検討を進める」

結論から申し上げれば、この3大方針をより強力に推進していける川下産業の製品分野が、今後より成長が見込まれるマグネシウムの需要分野と考えられます。

この点、先の、「2030年を見据えた非鉄金属産業戦略の概要(以下、概要といいます)」では、先ず、マグネシウムの産業状況を定量的に示し(概要P23~24)、2006年マグネシウム産業戦略の進捗状況を概観しています(P25~26)。
その上で、2030年を見据えたマグネシウム産業戦略として、「我が国マグネシウム産業は、輸送機器分野での使⽤拡⼤等、各需要分野それぞれでの取り組みに加えて、分野横断的にIoT・ビッグデータ・⼈⼯知能の導⼊によって⽣産レベルを上げることが、競争⼒向上につながる。」としています。生産工程の見える化による製造コストの削減、火災を中心とする産業事故の多いマグネシウム製品製造業務において、ロボット化・人口知能の活用による省人化等の検討を進めていくことが重要であると指摘し、
今後成⻑が⾒込まれる需要分野として、パソコン、スマートフォン ・⾃動⾞、鉄道、航空機 ・健康医療分野 ・エネルギー分野 ・添加剤、還元剤分野を挙げています。
以下、「各分野の需要動向と対策」についての記述をご紹介致します。

●パソコン・スマートフォンの需要動向と対策
インターネットやモバイルコミュニケーションの普及により、パソコン、スマートフォンの需要は新興国を中⼼に拡⼤する⾒通し。
パソコン、スマートフォンにおい てはより軽量化、⾼強度化、デザイン性が求められる流れでマグネシウムのニーズが⾼まる⾒込み。
今後の対策としては、
①ユーザー産業との対話・ニーズの理解を基に個社ベースでの技術開発を実施。
②パソコン、スマートフォンの組⽴加⼯は中国・韓国・台湾で⾏われていることが多く、重要な技術やノウハウの流出に注意しつつ、マグネシウム部材におい ても現地⽣産を進めることでコスト削減を実施。
③既存のマグネシウム合⾦は加⼯性が悪いことから、⾼成形性マグネシウム合⾦の材料開発が重要。 

●自動車・鉄道・航空機の需要動向と対策
新興国では、経済成⻑によって輸送機器そのものの需要が伸びる⾒込み。
先進国では、地球温暖化対策として燃費の向上が求められることから、輸 送機の軽量化需要があり、⾃動⾞、鉄道、航空機において、より軽量で耐久性があり丈夫な部材であるマグネシウムのニーズが⾼まる⾒込み。軽量化 ニーズに伴い、アルミニウム合⾦の需要も増加すると考えられ、アルミニウム合⾦への添加材としてのマグネシウム需要も拡⼤⾒込み。 
今後の対策としては、
①ユーザー産業との対話・ニーズの理解を基に個社ベースでの技術開発を実施。燃費規制等で⾃動⾞の軽量化ニーズが⾼まり、マグネシウムの⼤型展 伸材の製造に向けた技術開発や接合技術の開発が重要。
②鉄道分野では構造材の信頼性も重要であり、難燃性マグネシウム合⾦の開発を実施。
③マグネシウムを使った輸送機の需要拡⼤に向け、ユーザーへの情報提供の取組を強化。

●健康医療分野の需要動向と対策
⾼齢化社会では、介護福祉機器や⽣体医療⽤マグネシウムの需要増加が期待。軽量、丈夫、⽣体吸収性等の特性により、医療機器へのニーズも 拡⼤する⾒込み。
⾞椅⼦、シルバーカー、歩⾏器、松葉杖、ステッキ、義⼿、義⾜などは⼈間が移動、⾏動するための補助機器であり、軽さが求められる と同時に、⼈の命も守ることから強度⾯での要求も強い。さらに、マグネシウムは、⽣体吸収性能も有し、⽣体材料としてステント、ボーンプレート、ボルト、 ステプラー、縫合⽷、⾎管接合材等への適⽤も⾒込まれる。
今後の対策としては、
①ユーザー産業との対話・ニーズの理解を基に個社ベースでの技術開発を実施。軽量であると同時に⾼強度なマグネシウム製品を開発する必要。
②介護福祉機器に使⽤される材料には、さらなる軽量化ニーズからマグネシウムにも注⽬。マグネシウムとアルミニウムの地⾦価格は⼤差ないことから、マ グネシウムの加⼯コストを削減し、性能と価格競争⼒を有する製品提供に取り組む。
③⽣体医療分野では、製造技術の効率化によって、コスト低減を実施。

●エネルギー分野と対策
マグネシウム電池は、海⽔などを注⼊する⼀次電池として、海難⽤やオゾン層観測⽤のバッテリーとして利⽤。軽量、安全性、⾼電気容量等で、災害時の緊急⽤エネルギー源としてニーズの拡⼤が期待。
今後の対策としは、
①マグネシウム表⾯への堆積物沈着によるイオン化の妨害や⾃⼰放電などの対策が必要。
②⻑期の耐久性があり、⻑期間の保管が可能であるが、使⽤後の廃棄処理の確⽴が必要。

●添加剤・還元剤分野と対策
マグネシウムは低電位であり優れた反応性を⽰すことから、アルミニウムや銅合⾦に添加されるとともに、製鉄⼯程においてSO2ガスを吸着、塩素や硫⻩ 分の還元で、⺟材⾦属材料の特性を向上。合⾦等の軽量化、⾼強度化、⾼耐⾷性などのニーズから需要拡⼤を期待。
今後の対策としては、
①添加剤や還元剤⽤のマグネシウムのコスト低減のためリサイクル材の有効活⽤の取組が重要。

本日は、ここまでと致します。

次回からは、いよいよマグネシウムの加工技術毎の最新動向、取り組み事例について、ご報告致します。 


2017年6月16日 11時19分

「2030年を見据えた非鉄金属産業戦略」のポイント

 本日は、「2030年を見据えた非鉄金属産業戦略の概要(以下、概要といいます)」のポイントについて、簡単にまとめてみました。今後のMg技術動向レポートの視点を共有して参りましょう。

概要では、冒頭、本戦略の目的として以下の通り、整理されています。

●「⾮鉄⾦属は鉄を除く⾦属素材として定義され、アルミニウム、銅、チタンなど多様な⾦属を含む。それら⾮鉄⾦属は、情報通信機器、電⼦機器、輸送⽤機器、建設資材、医療⽤器材、包装材、インフラなどの分野において、社会のあらゆる場⾯で使⽤されている」との認識のもとに、

●「⾮鉄⾦属産業は⽇本の産業全体を⽀える重要な位置を占める⼀⽅で、ユーザーニーズの⾼度化と多様化、海外事業者のキャッチアップ、エネルギーコストの上昇等を始めとする事業環境制約の⾼まりなど、⼤きな環境の変化に直⾯しており、世界市場において今後も競争優位性を維持し続けるためには、環境変化に対する認識、その変化に応じた戦略の策定が必要である」と結論しています。

●根拠として、「アルミニウム、伸銅、マグネシウム、電線、チタン、レアアース、シリコン、ファインセラミックスの8つの⾮鉄⾦属産業において、業界の現状・課題を整理し、その課題に対しての産業戦略を策定することを⽬的にする」として、「平成27年度⾮鉄⾦属産業の省エネルギー促進等による競争⼒向上に関する調査」を行った上で、 

●2006(平成18)年度に発表された⾮鉄⾦属産業戦略の進捗状況をまとめ、2015 (平成27)年6⽉の⾦属素材競争⼒強化プランの⽅向性を踏まえ、将来の川下産業での需要動向を⾒据えた2030年における産業戦略仮説を各業界において、以下の構成で整理し、「非鉄金属産業戦略2016(以下、2016戦略といいます)」として取りまとめています。

  ●⾮鉄⾦属産業戦略それぞれの位置づけ
  ●各産業共通の取組
  ●各産業のポイント
  ●個別産業の取組 (アルミニウム、伸銅、マグネシウム、電線、チタン、レアアース、シリコン、ファインセラミックス) 

この2016戦略を一言でまとめれば、
「今後の⾮鉄⾦属産業において重要となる取り組みに関して、省エネの推進、リサイクルの推進、IoTの活⽤の3 分野を特定し、これらの取り組みによって、製品競争⼒の強化・製造コストの低減を強⼒に推進する。」ということになります。

前提になっている経産省の課題認識は、以下の3点です。
●エネルギーコストの上昇
→非鉄金属産業は、エネルギー多消費産業として、これらエネ ルギーコストは製品製造コストに転嫁され、事業収益に直結することから、省エネを⼀層推進する必要がある。

●原料調達リスクの高まり
→他国の資源ナショナリズムの⾼まりなどにより原料調達リスクは引き続き存在。影響の緩和が必要。

●デジタル技術の普及
インダストリー4.0の広がりにより、製造部⾨におけるIoTの活⽤が拡⼤している。⾮鉄⾦属産業においても製品競争⼒維持のため、技術⾯で劣後しないことが重要。

 
 そして、この課題認識のもと、一番大事な今後の取り組みとして、以下の3大方針が示されています。この3点を、先ず初めに、皆様と共有しておきたい技術動向レポートの基本的な視点とさせて戴きたいと思います。

●省エネの推進
→「投資回収効果が明確に⾒込める省エネ事業より導⼊が進 められている⼀⽅、『オペレーション効率の改善』など効果が 不明確な事業においては、投資が⾏われにくい現状があるので、製造プロセスにおけるエネルギー消費量・オペレーション効率 の可視化によって、省エネポテンシャルを把握し、⼀層の⽣産効率化を実施する」とし、

●リサイクルの推進
→「特にレアメタル資源に関して、経済性と両⽴したリサイクル技 術の開発・社会全体でのリサイクルフローの確⽴を引き続き進める」とし、同時に「静脈産業へのIoTの活⽤によって、リサイクルの効率化、サプライチェーン内のニーズの探知、新サービスの創出を⽬的として推進していく」としています。

そのためには、
●IoTの活用
→IoTの活用により、「取得されたデータを計算科学手法」によって、「材料設計期間の劇的な短縮や、製造プロセスの革新的な改善が行われる可能性が存在する」と期待し、「こうした計算科学手法が有効に活用される製品分野の特定を行い、実導入に向けた検討を進める」としています。

次回は、こうした視点でマグネシウム産業を俯瞰し、成長が見込まれる需要分野について、定量的なデータも確認しながらレポートを進めていきたいと思います。

 


2017年6月12日 10時48分

最新Mg加工技術動向レポート連載にあたり

  こんにちは、茨城マグネシウム工業会事務局より委託を受けまして、本日より標記レポートの連載を担当させていただきますソーシャル・インパクト・ワークス(SIW)の清原です。※

私自身も、ISO規格提案のためのMg疲労強度試験用試験片の製作や、NC複合自動旋盤による三次元自由曲面加工を活かしたMg高級万年筆量産加工、超微細孔加工を活かした微小医療検査用ポンプや、生体Mgステントブランクの試作加工などに挑戦してきました。

この連載では、経済産業省「2030年を見据えた非鉄金属産業戦略の概要」などをベースにして、Mg機械加工技術の動向について、情報発信して参ります。

また、順次、茨城マグネシウム工業会の会員様工場にお邪魔させていただきながら、会員様の「ピカイチ技術」など、お話を伺って参りたいと思います。

不定期の更新となりますが、皆さま、何卒、宜しくお願いいたします。

ソーシャル・インパクト・ワークス(SIW)
 


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